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2007年8月 6日 (月)

DTPの夜明け その7

DTPの夜明け (pdf 19page)

http://www.imeasure.co.jp/pdf/DTPnoYoake.pdf


ガンマの話(4)

・出力装置の特性、具体的には、印刷物の濃度再現特性はどうなっているのか?

伝統的な印刷手段であるオフセット印刷(網点印刷)の話です。

オフセット印刷では、印刷に使用する版(フィルム)に開口した穴の面積比率に対して、実際に紙の上に載ったインキの面積の差をドットゲインという数字で表現します。(%1)

150線の欧米タイプでの代表的なドットゲインカーブが上記の緑色、及び黄色の領域です。具体的には、0~30%の領域では、下から3本目のライン(網点率50%にて13%のdotgain)。30~100%の領域では、下から4本目のライン(網点率50%にて17%のdotgain)が標準的とのことです。(%1)

Photoshopの世界では、このdotgainよりもトーンカーブの方が理解しやすいので、トーンカーブに変換します。(%2)

さらに、この座標系は、横軸縦軸ともに、数字が大きい程、暗い(インキが多い)ので、RGB系と同じ系とするために、逆転させます。

つまり、横軸は、1-dot率 。縦軸は、インキの乗っていない領域(余白)の占有率として表現します。

実は、1本グラフを増やしています。

Cyan色(淡い青)は、ガンマ1.8のラインです。

暗い(インキ高濃度)の領域では、黄色のライン(網点率50%にて22%のdotgain)。明るい(低濃度)の領域では、青いライン(網点率50%にて13%のdotgain)に沿っていることが分かります。

以上の事実から、次のようなことが推察されます。

グレースケールチャートを0-255で作成し、オフセット印刷した結果をディスプレイに表示された画像と比較をした結果、ディスプレイのガンマ特性を1.8にした時に、もっともディスプレイ表示と印刷物の『見た目の再現性』が高かった。

恐らくこの実験をAppleが行い、システムガンマを1.8にすることにしたのだろうと、私は推察します。

ちなみに、「一般的に欧米の印刷物は紙の原パルプ配合率が高く裏抜けが少なくインクをあまり盛らずにさらっと仕上げることが好まれるので、50%でのドットゲインは15%程度です。日本の印刷物はずっしりした手ごたえのある厚盛が好まれるため20~25%が適性といわれています。(%1)」とのことですので、日本のメーカーがもしDTPを立ち上げたら、システムガンマは1.8よりももっと大きくしたかも知れません。

   解像度:72dpi

   ガンマ:1.8

こうして、Appleは、解像度とガンマをそれぞれ定義することで、見たとおりに印刷される世界を構築しました。文字も、画像も(そして写真も)全て、画面で見えたとおりを印刷する。当時、この構想は、(WYSIWYG)と呼ばれました。 うぃずぃうぃぐと読みます。

   What You See Is What You Get

   あなたが今見ているものは、あなたが得るものです

この謳い文句は、アルダスのページメーカーが最初にページレイアウトソフトとして具現化した際に使いました。

この話にはさらに続きがあります。WYSIWYGと言うには、まだ当時「色」については実現していませんでした。

次回はいよいよ最終段階、PIXELのもつ最後の情報、RGBの色についての話です。RGBという0-255の数字は、独立した3つの座標軸であるというだけであって、色の情報を持ちません。この色をどう定義するかというDTPの歴史もAppleが土台を構築したのです。いよいよDTPの夜明けのラスト ColorSyncの話です。

(つづく)

(%1)SAKATA INX ENG.CO.,LTD 濃度計測の基礎 Rev.4(2007/04/20)

http://www.inx-eng.co.jp/support/pdf/BasicDen.pdf

(%2)「How to Create Color Profiles for ColorSync 2.0」によれば、このトーンカーブのことをプレスカーブ』と呼ぶようです。

http://www.jpc.gr.jp/jpc/download/pdf/HowtoCreate.pdf page-16/24

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コメント

ある友人より。。
『昔読んだColorTronのマニュアルには、ガンマ1.8の理由は、MacintoshのCRTと LaserWriterの調子を合わせるためだと書いてありました。』

ColorTron ってのは、1992年(確か。。)ごろにLightSource社が発売した$1000の分光器。マニュアルが色彩学の教科書のように分厚く、かつ、分かり易かった。

社長はかつて編集者だった女性。世界の印刷物の色を一致させたい!っという啓蒙の熱意がそのドキュメントから伝わってきた。

その後、X-Rightに買い取られた。

ColorTronって聞いて「懐かしい!」って言う方は、恐らく、MacDTP初期から関わっている師匠です。

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